解決実績

原付乗車中に転倒して頭部外傷後、5級2号の高次脳機能障害を残した被害者につき、損保会社の約2250万円の提示に対し、当事務所介入後、約2750万円で示談が成立した事例

相談者 70代女性
自覚症状 物忘れ、吐き気、ふらつき等
傷病名 外傷性くも膜下出血、頭蓋骨骨折、脳挫傷
後遺障害等級 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないものとして、5級2号
解決方法 示談交渉
受注から解決までに要した期間 約2か月
ご相談に至る経緯
 相談者は、原付を運転していたところ、停車していた車の脇を通過する際、突然開いた車のドアと衝突して転倒、頭部を強打してしまい頭蓋骨骨折等の頭部外傷を負ってしまわれました。

 当事務所へは、症状固定後、ご自身で後遺障害等級の事前認定を受け、損保会社からの賠償額の提示を受けた段階で、相談者の娘さんが提示金額が妥当かどうかを確認してほしいとのことで、相談に来られました。

 提示金額を検討した結果、もともとの提示額自体は、任意保険の基準に照らしてもそれほど不誠実な金額とまでは言えませんでした。しかしながら、通院付添費(被害者の通院に近親者が付き添って行ったことにより要した費用)と慰謝料については増額される余地があると判断し、その旨説明したところ、当事務所が受任して交渉することとなりました。
結果
 当事務所介入後、相手方損保会社に対し、通院付添費と弁護士基準で計算した慰謝料に基づき示談交渉を開始しました。相手方損保からは、通院付添費は全額認定したうえで、慰謝料については弁護士基準よりも若干低い金額の提示がありました。

 このため、相談者と今後の方針を協議したところ、可能な限り訴訟は回避して、できるだけ早期の解決を望むとのことでしたので、提示額から約500万円程度増額した約2750万円で示談を成立させるに至りました(なお、弁護士基準で計算した場合、約3000万円の請求でした)。相談者の上記のような迅速解決のご意思により、受任から約2か月の早期解決に至ることができました。
ポイント
 本件では、賠償額の交渉が困難であったというよりは、被害者ご本人のみならずご家族も含め、今後残存する後遺障害とどのように付き合っていくべきかという点が非常に問題になっていました。この点は、金銭賠償のみでは解決できない非常に難しい問題です。本件の相談者に対しては、高次脳機能障害を支援されている団体を探してご紹介させていただきました。

 本件の相談者のように、重度から中等度の高次脳機能障害が残存している方の日常生活は、ご本人のみならずご家族のご負担も大きなものとなりがちです。弁護士だけでは解決できない問題でもあるため、関係諸機関や専門家と連携して、金銭的な観点以外からも、被害者やご家族のご負担を軽減できる取り組みを心がけていかなければならないと感じました。

 また、先日、高次脳機能障害関係の研修を受講した際、リハビリ専門医から、高次脳機能障害の後遺障害を有する被害者の方については、できるだけ賠償の解決は長期化させずに、早期解決に至るのが望ましいとのお話もありました。

 このように、いまだ当事務所としても手探りであり、うまくいかないことも多々ありますが、今後も、被害者お一人お一人に合ったベストな解決を模索していきたいと思います。