相談者は、高速道路の走行車線を走行中、追越車線を走行してきた車両が異常接近してきたため、とっさにハンドルを左に切って避けようとしたところ、車の制御が不能になってしまいました。その結果、車は左側ガードレール、中央分離帯等に順次接触して大破してしまい、ご自身はシートベルトを装着していたものの車外に投げ出されてしまい、上記のような怪我を負われてしまいました。
しかしながら、あろうことか加害者側の保険会社担当者は、事故から数日後、相談者が集中治療室から出てくるか否かのタイミングで病院を訪れ、今回の事故は相談者の一方的な過失による自損事故であるから、治療費を負担することはできないと一方的に通告してきたのです。
本来であれば、非接触事故であったとしても、保険会社において事故態様を精査したうえで、治療費の負担をするか否かを慎重に検討するべきであるといえますので、上記担当者の対応には非常に問題があったといわざるをえません。
結果、相談者は、ご自身が加入されている保険会社の人身傷害補償保険を利用して、治療費を負担してもらうことになりました。
治療終了後、人身傷害補償保険による事前認定手続をとり、その結果上記等級が認定されました。そこで、ご自身が加入されている保険会社のご担当者のご紹介で、当事務所が事後の賠償請求を担当することとなりました。
解決実績
相手方の無責の主張を覆し、1200万円で裁判上の和解が成立した事例
相談者 | 30代女性 |
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自覚症状 | 左腰部痛、長時間の立位保持困難 |
傷病名 | 第5頚椎椎体骨折、左第2-4腰椎横突起骨折、右仙骨骨折、右第5腰椎横突起骨折 |
後遺障害等級 | 「脊柱に変形を残すもの」として別表第二11級7号、「局部に神経症状を残すもの」として別表第二14級9号、以上併合11級 |
解決方法 | 訴訟 |
受注から解決までに要した期間 | 約2年 |
ご相談に至る経緯
結果
本件は、上記のように、相手方の任意保険会社が一切の賠償を負担しないという対応でしたので、示談交渉を経ることなく、最初から裁判所に訴えを提起しました。
相手方からは、①高速道路上の非接触事故であり、相談者の一方的過失で生じた事故であるから、加害者には責任はない、②被害者に残存する後遺障害の主なものは脊椎の変形障害であり、労働能力の喪失率は微々たるものである、等と主張して、医師の医学的意見書などを提出してきました。
これに対し、当方は、相談者の治療を担当してもらった病院の医師のみならず、第三者の意思とも面談して、相手方の主張が妥当でないことを反論、立証していきました。
このような主張、立証作業に双方時間がかかってしまったため、少しお時間を頂戴してしまいましたが、裁判所からは、①の点については、相手方に賠償責任があることを前提に、②の点については、労働能力喪失率を15パーセント、労働能力喪失期間を67歳までとして、1200万円の和解案が示されました。
双方とも裁判所からの和解案を受け入れることとなったため、最終的には1200万円の裁判上の和解を成立させることで解決に至りました。
相手方からは、①高速道路上の非接触事故であり、相談者の一方的過失で生じた事故であるから、加害者には責任はない、②被害者に残存する後遺障害の主なものは脊椎の変形障害であり、労働能力の喪失率は微々たるものである、等と主張して、医師の医学的意見書などを提出してきました。
これに対し、当方は、相談者の治療を担当してもらった病院の医師のみならず、第三者の意思とも面談して、相手方の主張が妥当でないことを反論、立証していきました。
このような主張、立証作業に双方時間がかかってしまったため、少しお時間を頂戴してしまいましたが、裁判所からは、①の点については、相手方に賠償責任があることを前提に、②の点については、労働能力喪失率を15パーセント、労働能力喪失期間を67歳までとして、1200万円の和解案が示されました。
双方とも裁判所からの和解案を受け入れることとなったため、最終的には1200万円の裁判上の和解を成立させることで解決に至りました。
ポイント
本件で最も問題となったのは、「脊柱に変形を残すもの」とする11級7号という後遺障害に対する逸失利益の評価でした。脊柱の変形障害などについては、身体の機能障害などと比較して、相手方保険会社から労働能力の喪失率や喪失期間を争われることが多いですし、実際の裁判例もそのような傾向にあることは否定できません。11級に対する労働能力喪失率は一般的に20パーセントと評価されていますが、今回も、相手方からは5パーセントであるという主張がなされていました。
このような場合、弁護士の訴訟活動としては、脊椎の変形の程度、態様などについて主治医の先生などからご意見を伺い、医学的な観点から、その変形の程度などについて主張、立証していくことが考えられます(この点は、弁護士だけで判断することは困難であり、医師のご協力をいただくことが必須となります)。また、相談者から、自覚症状や実際の日常生活上の支障などを伺い、上記の変形の程度や態様などと整合するかなどを検討し、この観点からの主張、立証をすることも考えられます。
しかしながら、個々の事案において訴訟上どのような主張、立証活動を行うべきかは、まさにケース・バイ・ケースであるといわざるをえません。このように、労働能力の喪失率や喪失期間につき厳しい争いになりそうな事案などについては、交通事故に詳しい専門家にご相談されることをお勧めします。
このような場合、弁護士の訴訟活動としては、脊椎の変形の程度、態様などについて主治医の先生などからご意見を伺い、医学的な観点から、その変形の程度などについて主張、立証していくことが考えられます(この点は、弁護士だけで判断することは困難であり、医師のご協力をいただくことが必須となります)。また、相談者から、自覚症状や実際の日常生活上の支障などを伺い、上記の変形の程度や態様などと整合するかなどを検討し、この観点からの主張、立証をすることも考えられます。
しかしながら、個々の事案において訴訟上どのような主張、立証活動を行うべきかは、まさにケース・バイ・ケースであるといわざるをえません。このように、労働能力の喪失率や喪失期間につき厳しい争いになりそうな事案などについては、交通事故に詳しい専門家にご相談されることをお勧めします。